平成26年度の年金額は本来水準になるのかならないのか

 

 少し気の早い話ですが、平成26年度の年金額がどうなるか検証してみました。現時点での物価上昇率0.7%(9月時点での消費者物価上昇率)を前提としたかりの話です。

 

 すでに、足もとの物価変動と関係なく、過去の物価スライド凍結分を解消するために、今年の10月に続き、平成26年4月も年金額が1%引き下げられます。したがって、特例水準の基礎年金の満額は以下のとおりになります。

 804,200×(0.968×0.99)≒770,400

 

 これに対して、本来水準は賃金上昇率が0.7%以下であるとすれば、新規裁定者、既裁定者とも以下のとおりになります(0.982は25年度の改定率です)。

 780,900×(0.982×1.007)≒772,300

 

 ということで、この時点で本来水準が特例水準を上回ります。

 では、平成26年度の額は772,300円になる(1%まで下がらない)のかというと、ここでマクロ経済スライドが効いてきます。そこで、かりに調整率を0.9%とすると、0.7%の物価上昇率を上回ることになりますから、本来水準の年金額は据置きで766,800円(780,900×0.982)となり、この額はこんどは特例水準を下回ります。

 

 この場合、いったいどの金額になるのか。

 

 平成16年附則12条および同2項(過去の物価スライドの積残し分2.5%を解消することが盛り込まれた改正法により一部改正されています)によれば、平成26年度において、本来水準(マクロ経済スライドの適用前)が特例水準(1%引下げ後)を上回った場合は、マクロ経済スライドを適用するが、本来水準と特例水準の差が調整率以下であれば、その差以上には引き下げない、つまり、特例水準の額は保障するとあります。

 

 この12条の2項はかなり難解な文章で、この解釈でいいか若干の不安もあるのですが、この解釈が正しいとすれば(もし間違っていたらご指摘くだされば幸いです)、結論としては770,400円(1%引下げ後の特例水準)になります。特例水準は解消したのに(本来水準のほうが上回ったのに)、マクロ経済スライドを加味すると特例水準のままという、わかりにくい状態になります。(2013.11.20)

 

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コメント: 2
  • #1

    cedar (金曜日, 31 1月 2014 23:58)

    いくつか間違いがあると思います。
    (1)本来水準に関係があるのは賃金上昇率ではなく名目手取賃金上昇率(以降名賃)であり、これには昨年度の賃金上昇率は影響しません。また物価上昇率>名賃>1となった場合は本来水準は新規裁定者、既裁定者ともに名賃で改定されます(国年法27条の2、27条の3)
    (2)25年度(10月以降)、26年度については物価特例水準は前年度額×改定率の改定率×0.990で計算し、これが前年度を上回る場合は据え置きになります。すなわち改定率の改定率が1を超える場合特例水準は0%以上1%未満さがることになり、”1%下がる”というのは誤りです。(平16改正法附則7条の2)
    ご記述の通り改正後はかなり複雑になっているのであくまで「たぶん」ですが。

  • #2

    officetakeda (日曜日, 02 2月 2014 10:49)

    ご指摘ありがとうございます。平成16年改正法附則7条の2の読み替えが十分に解読できていませんでした。